紀州池田庄中三谷村の春日神社の歌碑

紀州池田庄の春日神社の歌碑
＜　和歌山県　紀の川市　＞　

春日神社の歌碑の歌人について　　　 2015年　9月 7日 V02-02

☆　… 歌碑と歌人 …　☆

春日神社の歌碑の歌人の考察(仮説)

春日神社の拝殿前に第二鳥居がある。その横の建立の記念碑の碑文には、「春日神社の由来」のとして、
「後堀河天皇ノ御代貞応二年(1223)　明恵上人中三谷ニ金剛寺ヲ建立、其守神トシテ南都ニ赴キ三笠山ヨリ勧請シテ、此処ニ祀レルナリ、其時守護ノ為三十六人随ヘル者ノ内神職藤原宿禰秀鰭ノ歌ナリトテ」
「さを鹿の声も尊き神垣や三笠をここに移す月かも」と書かれている。
その碑文は、和歌山縣那賀郡誌(下)のP265 春日神社の項の文章が引用されたと思われる。
紀伊国名所図会･三編･巻の一のP52 春日社の項の中に
「當社は明恵上人村中金剛寺に住まれし時、南都の三笠山より勧請し奉る御神なり。
或は傳ふ、明恵上人神託を奉(うけ)て勧請の時、神職藤原宿禰秀鰭是が守護し奉り、
一首の歌を詠り。今の神主は秀鰭の裔といふ。」
　【　さをしかの聲もたふとき神垣や三笠がこヽにうつす月かげ　】とある。

その中の「守護の爲三十六人隨へる者の内に神職藤原宿禰秀鰭」に着目し、「うたなりとて」から歌人であると考え、その歌人について、考察する。
そこで、　「守護の新三十六人撰べる者の内に神職藤原宿禰秀能」である、歌人が詠んだ歌と考えるのが正しいように思われる。

＜理由１＞
藤原秀鰭の「鰭」と云う文字を、名前に付ける事が不自然に感じられる事から、文字の読み違えがあると考え、「爲・隨・鰭」の三文字に着目した。
歌人であると考えると「爲三十六人隨へる」を「爲を新」で「隨を撰」と読むと「新古今集」撰集の歌人を「新三十六人撰」がある。
　そのように読み解くと「新三十六人撰」作者の一人の藤原秀能が考えられる。「くずし字辞典」や「小篆文字」を調べてみると、「能」の文字は「鰭」読み違える字体でもある。
　くずし文字の一例　　　能能2　文字

　鰭

　

その人物を調べて見ると、藤原の秀鄕の子、千常の孫の兼光より、七代の秀宗の次男に、藤原秀能(1184-1240)がいる。
藤原秀能(ひでより、ひでとう)は、「新古今」時代の歌人で、鎮守府将軍秀鄕の後胤(子孫)で河内守秀宗の次男。はじめ土御門通親の家司。１６歳の時、後鳥羽院北面の武士となり、以後歌才を認めて院の寵遇をえ、「新古今集」撰集の時に和歌所寄人の一人となる。「新三十六人撰」作者の一人である。
承久三年五月の変(1221年)に、朝廷方の将として戦ったが敗れ、熊野にのがれ出家三十八才、法名を如願と号した。
＜理由２＞
藤原秀能の詠んだ歌の中に、次のような類似の歌がある。
桂宮本叢書　第二十巻の「如願法師集　四季　恋　哀傷　祝　（藤原秀能）」
嘉禎二年十月十二日聖護院宮御會に月前聞鹿(1236年)
【　さをしかのこゑふきおろすやまかせに　そらさえわたるあきのよの月　】

建久元年(1190)の頃
藤原秀能：　七才
明恵上人：十八才
西行法師：七十三才入寂

貞応２年(1223)の時
藤原秀能：４０才(法名を如願)
明恵上人：５１才

☆　春日神社の歌碑と歌人　☆

---------☆--------＜参　考＞------------------☆-----------------------
１．　
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３．　金剛寺　　　　　…　紀伊續風土記
４．　金剛寺　　　　　…　池田村史
５．　金剛寺　　　　　…　打田町史
６．　

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